接骨院等にかかるとき

接骨院等で施術を受けた際にかかる費用のことを「柔道整復施術療養費」といいます。
近年、接骨院等で柔道整復師から施術を受ける方が多くなっています。これに伴い柔道整復師にかかわる療養費も増加の傾向にあります。
接骨院等は、皆さんの身近にあり気軽に利用できますが、接骨院等は医療機関ではなく、施術を行う柔道整復師は医師ではないため、「健康保険」が使える場合と使えない場合が定められています。
接骨院等の看板に「各種保険適用」と書いてあっても、すべての施術が「健康保険扱い」になるという意味ではありません。正しいかかり方を理解し、適正な受療をされますようご協力をお願いいたします。

健康保険制度解説動画「柔道整復師にかかるとき」

健康保険でかかれる範囲

健康保険の適用となるのは、外傷性が明らかな以下の症例に限られます。

※内科的原因による疾患は含まれません。
※いずれの負傷も慢性的な状態に至っていないものに限られます。

●骨折・脱臼

※応急手当の場合を除き医師の同意が必要です。

●打撲・ねんざ・挫傷(肉離れ等)

こういう場合は健康保険でかかれません

以下のような場合は健康保険扱いにならないため、施術費用は全額自己負担となります。

case
1
日常生活での疲れによる肩こり、スポーツによる筋肉疲労、筋肉痛のため、近所の整骨院や部活動等のスポーツトレーナーに施術を受けた。
日常生活やスポーツによる筋肉痛、筋肉疲労に健康保険は使えません。
case
2
庭の草取りをしたら、その晩から腰痛が出たので、翌日整骨院で施術を受けた。
日常生活でおこる肩こり・腰痛に健康保険は使えません。
case
3
数年前に傷めたひざが再び痛み出したので、接骨院で施術を受けた。
過去のけがや交通事故の後遺症等は健康保険の対象になりません。
case
4
けがをして医療機関で治療中だが、早く治したいので接骨院にも通院している。
医療機関と重複受診している場合は、接骨院等で健康保険は使えません。
case
5
長い間にわたる関節痛で、痛み出すたびに接骨院に通院している。
症状の改善がみられない、長期にわたる漫然とした施術に健康保険は使えません。
case
6
神経痛やリウマチ等からくる痛みのため、接骨院に通院している。
医療機関で治療すべき病気・けがに起因する痛み等への施術に健康保険は使えません。
case
7
出産後の骨盤矯正のために整骨院に通院している。また、育児による腰痛や手首の痛みについても施術を受けている。
出産後の骨盤矯正、育児による痛みへの施術に健康保険は使えません。
case
8
仕事から帰宅途中で骨折し、近くの接骨院に運ばれた。
通勤時や業務上のけが等は労災保険扱いとなります。詳しくはこちらのページをご覧ください。

Q1. 健康保険が使えないはずなのに、接骨院等から「保険が使える」と言われたら?

A1. 肩こりや筋肉疲労などで施術を受けた際に、外傷性のけがではないにも関わらず、健康保険が使えると言われた場合は、施術を受けた理由を再度説明し、自費(10割負担)でお支払いください。
健康保険が使えないにも関わらず、外傷性のけがの施術として健康保険を使った場合は、後日健康保険組合からの調査等により、被保険者の方へ健康保険組合が負担した施術費用(7または8割)を返還いただく場合があります。

Q2. 半年以上接骨院等で施術を受けているのに、症状が改善されないときは?

A2. 改善がみられない場合は、内臓の疾患の場合もあります。接骨院等は医療機関ではないため、検査・手術・投薬などの治療行為を行うことはできません。早めに医療機関を受診しましょう。

施術内容は必ずチェックを

接骨院等での施術費用は、原則としていったん患者が全額を負担し、事後に健康保険組合に申請して7割分の還付を受ける「療養費」の取り扱いとなります。しかし、利便性が考慮された結果、都道府県との協定を結んでいる接骨院等では、療養費の支給申請を柔道整復師に委任することができるようになり、保険医療機関と同様、原則3割の自己負担のみで施術を受けられるしくみになっています。

しかし、委任するとはいえ、「療養費支給申請書」には自署・捺印を必ずしなくてはなりません。これらを求められた際は、負傷原因や負傷部位等、記載事項に間違いがないか必ずご確認ください(白紙委任には応じないでください)。

領収書を必ずもらおう

接骨院等は、領収書の無料発行が義務づけられています。医療機関にかかった際と同様に、領収書は必ずもらっておきましょう。

事後の施術内容の確認にも使えますので、施術内容の内容ごとに金額が細かく書かれた明細書ももらっておくとより望ましいですが、明細書の発行は有料の場合もあります。

文書で施術内容などについてお問い合わせする場合があります

健康保険組合では、健康保険を使って接骨院等の施術を受けた方のうち、内容審査において必要を認めた場合、施術師(接骨院等)が当組合へ請求を行った内容に誤りがないかなどを確認させていただくことがあります。その場合は、施術を受けた方宛に施術内容や施術経過、負傷原因等を文書照会させていただきます。文書照会が届きましたら、必ず自署にてご回答くださるようお願いいたします。保険料を適正に活用するため、照会業務へのご理解とご協力をお願いいたします。

なお、健康保険組合では、接骨院等からの請求内容と施術をうけられた方の受診内容との照合や不正請求の点検を、(株)東計電算に業務委託しております。

委託業者:(株)東計電算
文書表題:負傷原因(柔道整復師施術受診)等の調査ご協力のお願い
照会内容:施術日数、内容、負傷原因 など

【不適切な請求事例】

  • 健康保険が使えない場合で、本来自費(全額自己負担)となる負傷や筋肉疲労等への施術について請求
  • 健康保険が使えない場合で、回数券を購入させ、割引のある施術について請求(健康保険では施術の金額は法律で定められており、割引はありません)
  • 患部ではない部位を施術して請求
  • 実際に施術を行っていない部位も水増しして請求
  • 施術日数を水増しして請求

患者ごとの償還払いへの変更について

令和4年3月22日に厚生労働省から「柔道整復師の施術に係る療養費についての一部改正について」が発出され、複数施術所において同部位の施術を重複受診するいわゆる「はしご受診」その他の不適切と思われる患者については、健康保険組合の判断で「償還払い(施術時は患者が全額自己負担し、その後患者から健康保険組合へ7割または8割を請求する)」へ変更できる仕組みが新設されました。
適正な保険給付を確保するため、令和4年11月以降、下記何れかに該当する患者については、健康保険組合の判断において償還払いへの変更をお願いする場合があります。なお、令和6年改定において、新たに5.の事例が追加されました(令和6年10月1日施行)。

  • 自己施術(柔道整復師による自身に対する施術)に係る療養費の請求が行われた柔道整復師である患者
  • 自家施術(柔道整復師による家族に対する施術、柔道整復師による関連施術所の施術者及び従業員に対する施術)を繰り返し受けている患者
  • 保険者が、患者に対する照会を適切な時期に繰り返し行っても回答しない患者
  • 複数の施術所において同部位の施術を重複して受けている患者
  • 長期かつ頻回な施術を継続して受けている患者(初検日を含む月以降5ヶ月を超えて、かつ、1月あたり10回以上の施術を継続して受けている患者)

こんなことにご注意ください

  • 領収書は必ず受け取りましょう。
  • 健康保険を使って施術を受ける場合は、「療養費支給申請書」の負傷名・回数・金額等、内容を必ず確認して署名してください。
  • 長期間通っても症状の改善が見られない場合は医療機関にご相談ください。
  • 外科、整形外科などで治療(投薬も含む)を受けながら、同時に接骨院等で健康保険を使用して施術を受けることはできません。その場合は、原則接骨院等の施術は全額自己負担となります。